ヒトES細胞およびヒトiPS細胞から 下垂体ホルモン産生細胞を高効率かつ高純度で作製する方法を開発
~再生医療の実現に向けて~
2023年06月09日
国立大学法人 東海国立大学機構 名古屋大学
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藤田医科大学
名古屋大学大学院医学系研究科糖尿病・内分泌内科学の多賀 詩織 共同研究員(兼 住友ファーマ株式カジノ シークレット 評判、筆頭著者)、須賀 英隆 准教授(責任著者)および有馬 寛 教授らと、住友ファーマ株式カジノ シークレット 評判再生・細胞医薬神戸センターの桑原 篤 グループマネージャー、住友化学株式カジノ シークレット 評判生物環境科学研究所の中野 徳重 主任研究員および藤田医科大学医学部生理学の長崎 弘 教授らの共同研究グループは、ヒト胚性幹細胞(ヒトES 細胞)※1 およびヒト人工多能性幹細胞(ヒトiPS細胞)※1 を用い、高効率かつ高純度で下垂体ホルモン産生細胞を作製する方法を開発しました。
下垂体は様々なホルモンの制御中枢で、中でも副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)※2 は日内変動や各種ストレスにより需要が変動します。下垂体機能低下症に対する現行の補充療法ではこの需要変動に供給を合わせられず、生命予後に影響を及ぼす場合があります。
本共同研究グループは2016年にヒトES細胞から、2020年にヒトiPS細胞から下垂体-視床下部組織を作製可能にしました。今回はこれらの方法を基盤としてヒト臨床での使用を想定して改良し、ヒトES細胞およびヒトiPS細胞から安定的かつ高効率で下垂体-視床下部組織を作製可能としました。さらに下垂体表面抗原※3 マーカーのEpCAMを用いたセルソーティング(細胞選別)を加えることで、高純度の下垂体ホルモン産生細胞を作製可能としました。精製して再凝集した下垂体ホルモン産生細胞(3D-下垂体)を下垂体機能不全モデルマウスに移植したところ、半年以上に渡ってホルモン分泌能が改善し、ホルモン分泌制御や疑似感染ストレスへの応答を示すことを確認しました。
本研究の成果は下垂体の機能が低下した患者に対する再生医療の実現に向け、一歩前進したものと言えます。
本研究はAMED難治性疾患実用化研究事業「ヒト多能性幹細胞を用いた下垂体前葉機能低下症への再生医療技術開発」の支援を受けて実施され、2023年6月8日付の米国科学誌『Stem Cell Reports』誌オンライン版に掲載されます。
※1 胚性幹細胞(ES細胞)・人工多能性幹細胞(iPS細胞)
胚性幹細胞(ES細胞)とは発生初期の動物胚に存在する内部細胞塊から作られる細胞で、あらゆる種類の体細胞へ分化する能力とほぼ無限に増殖する能力を合わせ持つ多能性幹細胞の1つである。人工多能性幹細胞(iPS細胞)は皮膚や血液などの体細胞に遺伝子を導入することによって得られる多能性幹細胞である
※2 副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)
下垂体から分泌されるホルモンの一つ。副腎皮質に作用し副腎皮質ホルモンの分泌を促進する働きをする。視床下部からの副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)により分泌が刺激される。デキサメサゾンなどの糖質コルチコイドが充分に存在する場合は、分泌が抑制される
※3 表面抗原
細胞の表面に発現している抗原である。細胞表面抗原に蛍光色素を標識した抗体を反応させることで細胞を生きたまま選別することが可能である
以上
問い合わせ先
研究に関すること
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名古屋大学大学院医学系研究科
糖尿病・内分泌内科学
准教授 須賀 英隆TEL:052-744-2140
FAX:052-744-2212
E-mail:sugahide@med.nagoya-u.ac.jp
報道対応
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名古屋大学医学部・医学系研究科
総務課総務係TEL:052-744-2804
FAX:052-744-2785
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