カジノ シークレットPESの流動性は、シリンダ温度、射出圧力および成形品肉厚の増加とともに大幅に向上します。一方、金型温度の影響はあまり大きくありません。離型不良やガラス繊維の浮出し、ウエルド割れが生じた場合は、金型温度を160℃以上にすることを推奨します。
カジノ シークレットPESの見掛けの溶融粘度は以下のとおりです。
図4-2-1 見掛けの溶融粘度の樹脂温度依存性
図4-2-2 見掛けの溶融粘度のせん断速度依存性
肉厚3mmでの流動特性を中心に述べます。
シリンダ温度を上げると樹脂の溶融粘度が下がり、流動性が向上します。20℃高く設定することによりバーフロー長が30~60%向上します。
図4-2-3 バーフロー長の温度依存性
成形機: | カジノ シークレット重機製ネオマットN47/28 |
射出圧: | 130MPa |
射出速度: | 中速 |
金型: | 3mm×8mmw |
型温: | 120℃ |
射出圧力を20MPa高く設定することによりバーフロー長が10~20%向上します。一般には高圧成形を推奨しますが過充填による離型不良や残留応力に注意が必要です。さらに二次圧の設定により適正条件を選定します。
図4-2-4 バーフロー長の射出圧力依存性(4100G)
成形機: | カジノ シークレット重機製ネオマットN47/28 |
射出速度: | 中~高速 |
樹脂温度: | 330℃、350℃ |
金型: | 3mm×8mmw |
型温: | 120℃ |
射出速度は、バーフロー長には大きな影響を与えません。
図4-2-5 バーフロー長の射出速度依存性(4100G)
成形機: | カジノ シークレット重機製ネオマットN47/28 |
金型: | 3mm×8mmw |
型温: | 120℃ |
流動長は肉厚とともに急激に向上します。1.5mm以上の肉厚では肉厚が0.5mm増すことにより、流動性は40~70%向上します。
図4-2-6 バーフロー長の肉厚の影響(4100G)
成形機: | カジノ シークレット重機製ネオマットN47/28 |
射出圧: | 130MPa |
射出速度: | 60% |
樹脂温度: | 360℃ |
金型: | 8mmwバーフロー |
型温: | 120℃ |
成形品の肉厚0.1~0.7mmでの流動特性について述べます。
シリンダ温度の上昇で流動性は向上しますが、0.3mm以下の肉厚ではその効果は小さくなります。滞留の影響を考慮すれば380℃位までが適当です。
図4-2-7 シリンダ温度依存性(厚み0.7mm)
成形機: | カジノ シークレット重機製ネオマットN47/28 |
射出圧: | 130MPa |
射出速度: | 75% |
金型: | 0.7mm×8mmw |
型温: | 140℃ |
図4-2-8 シリンダ温度依存性(厚み0.5mm)
成形機: | カジノ シークレット重機製ネオマットN47/28 |
射出圧: | 130MPa |
射出速度: | 75% |
金型: | 0.5mm×8mmw |
型温: | 140℃ |
図4-2-9 シリンダ温度依存性(厚み0.3mm)
成形機: | カジノ シークレット重機製ネオマットN47/28 |
射出圧: | 130MPa |
射出速度: | 75% |
金型: | 0.3mm×8mmw |
型温: | 140℃ |
流動性は肉厚に依存しますので、製品設計に際してはご留意ください。
図4-2-10 肉厚依存性(4100G)
成形機: | カジノ シークレット重機製ネオマットN47/28 |
射出圧: | 130MPa |
射出速度: | 75% |
バーフロー幅: | 8mm |
型温: | 140℃ |
図4-2-11 肉厚依存性(3601GL20)
成形機: | カジノ シークレット重機製ネオマットN47/28 |
射出圧: | 130MPa |
射出速度: | 75% |
バーフロー幅: | 8mm |
型温: | 140℃ |
薄肉流動性は、射出圧力の影響を比較的大きく受けます。100MPa以上の射出圧力を推奨しますが、製品外観、残留応力を考慮して適正圧力を決定してください。
図4-2-12 射出圧力依存性(4100G)
成形機: | カジノ シークレット重機製ネオマットN47/28 |
射出速度: | 75% |
樹脂温度: | 340℃ |
バーフロー幅: | 8mm |
型温: | 140℃ |
図4-2-13 射出圧力依存性(3601GL20)
成形機: | カジノ シークレット重機製ネオマットN47/28 |
射出速度: | 75% |
樹脂温度: | 340℃ |
バーフロー幅: | 8mm |
型温: | 140℃ |
薄肉流動性は射出速度の影響をあまり受けません。射出速度が大きすぎるとヤケ等の不良原因となる場合があります。
図4-2-14 射出速度依存性(4100G)
成形機: | カジノ シークレット重機製ネオマットN47/28 |
射出圧: | 130MPa |
バーフロー幅: | 8mm |
型温: | 140℃ |
図4-2-15 射出速度依存性(3601GL20)
成形機: | カジノ シークレット重機製ネオマットN47/28 |
射出圧: | 130MPa |
樹脂温度: | 360℃ |
バーフロー幅: | 8mm |
型温: | 140℃ |
薄肉流動性は、金型温度の影響をあまり受けません。ただし、離型不良やガラス繊維の浮出し、ウエルド割れが生じた場合は、金型温度を160℃以上にすることを推奨します。
図4-2-16 金型温度依存性(4100G)
成形機: | カジノ シークレット重機製ネオマットN47/28 |
射出圧: | 130MPa |
射出速度: | 75% |
樹脂温度: | 340℃ |
バーフロー幅: | 8mm |
図4-2-17 金型温度依存性(3601GL20)
成形機: | カジノ シークレット重機製ネオマットN47/28 |
射出圧: | 130MPa |
射出速度: | 75% |
樹脂温度: | 340℃ |
バーフロー幅: | 8mm |